後見人が行う後見事務は無報酬ではなく報酬が発生します。通常は毎年一回家庭裁判所に報酬付与審判の申立を行い、家庭裁判所が報酬額を決定します。つまり一年分を後払いの一括払いということです。その一年の途中に後見事務のために急な出費があったとしても、被後見人の財産から勝手に報酬として受けることはできません。急な出費があった場合は年一回の家庭裁判所への報酬付与の申立の際に特別な事務として報告します。報酬額は、被後見人の資力、後見事務の内容などを考慮して相当な額が定められます。なお、報酬付与審判の申立は後見人のための手続きなので、申立に必要な印紙代やその他の実費は後見人の負担です。

後見制度を利用したくても、後見人に報酬を支払う財産がない人のために報酬助成制度があります。

ひとつは成年後見制度利用支援事業です。対象者は判断能力が低下している65歳以上で、一定の障害があり助成を受けなければ成年後見制度の利用が困難と認められる者です。申立を市区町村が代わりに行ったり、その費用や後見人の報酬が支給されます。

もうひとつは公益信託成年後見助成基金です。これは本人の財産が少ない場合に、後見人の報酬を助成する制度です。対象は親族以外の後見人です。金額は月一万円です。