何事も単純明快でわかりやすい方がスマートな印象を受けます。信託契約という複雑で専門的な契約であるほで単純化したほうがわかりやすいでしょう。しかし、信託契約の性質上、契約を複数化する方が良いケースもあります。それをいくつかご紹介します。
①目的別に分けるケース
信託目的が複数ある場合は、目的別に契約書を分ける方が良いことがあります。例えば、日常生活を送る上で必要となる金銭管理を目的とするものと、賃貸アパート経営などの資産運用を目的とするもので分けるというケースです。
②財産別に分けるケース
財産の種類が複数ある場合は、財産別に契約を分けるということもあります。例えば・老後の生活資金となる金銭に関するもの ・アパート経営等をしている方のための不動産に関するもの ・会社の経営に携わっている方のための株式に関するもの に分けるというケースです。
③承継者別に分けるケース
家族信託には遺言代用機能があることはすでに述べました。これにより将来の財産の承継先を何段階か先まで決めることが出来ます。財産の種類によって異なる承継先にしたい場合には、信託契約を複数化することが必要になります。
④受託者毎に分けるケース
財産を任せる人(受託者)を財産によって別の人物にしたいという場合には契約書を分けます。例えば金銭管理に関するものと、不動産管理に関するものでそれぞれ別の家族に任せたいと思う場合です。
このように家族信託契約は必ずしも一本化する必要は無く、信託内容によっては2通以上作成する必要もあります。