行政書士は、業務を行うに当たり当然様々な義務を負っています。大別すると・事務所・業務・その他の3つに分けることができます。
〇 事務所に関する義務
・事務所は必ず設置しなければいけません。また、2つ以上設置してはいけません。従って、行政書士法人等に勤務する使用人行政書士は、勤務先の法人とは別に自分の事務所を設けることはできません。
・事務所には表札を掲示しなけれないけません。表札の形式も規則で決められています。「行政書士〇〇〇事務所」「□□□行政書士事務所」という感じの表札で、一見して行政書士事務所だと分かるようにしなければいけません。
・事務所の見えやすい場所に報酬額を掲示しなければいけません。以前は行政書士の報酬額については一定の基準が設けられていましたが、規制緩和の影響で現在では事務所事に自由に報酬額を決めることができます。
〇 業務に関する義務
・誠実に業務を行うとともに、信用または品位を害するような行為をしてはいけません。業務を行うにあたっては、公正でなければならず、親切丁寧を旨としなければなりません。前半の義務規定は業務以外のプライベートな場面でも意識しておく必要があるでしょう。
・行政書士は原則として依頼を拒むことができません。正当な理由があれば拒むことができますが、依頼人にその事由を説明しなければいけません。
・正当な理由がなく、業務上知り得た秘密を漏らしてはいけません。行政書士をやめた後も同様です。事務所の使用人にも同じ義務が課せられます。しかし開業直後は、先輩士業にアドバイスや助言を求めることがあると思いますので、契約書の段階でその旨を明記しておきたいと思います。
・正当な事由がない限り、依頼の順序に従って、すみやかにその業務を処理しなければなりません。しかし業務内容によっては例外事例も少なくないでしょう。例えば、病気のため死期が迫っている方からの遺言書作成の依頼であれば、他の業務に優先して処理する正当な事由ありと判断します。
・原則として、その業務を他人に行わせてはなりません。ただし、従業者である行政書士や、依頼人の同意を得て他の事務所の行政書士に行わせることはできます。
・補助者を置くことができ、置いたとき、異動があったとき、置かなくなったときは、行政書士会に届け出なければなりません。
・職印を定めなければいけません。
・依頼の趣旨に反する書類を作成してはいけません。
・業務に関する帳簿を備え、・事件の名称・年月日・受けた報酬額・依頼書の住所氏名・その他知事の定める事項 を記載しなければいけません。
・報酬を受けたときは、正副2通の領収書を作成し、副本は5年間保存しなければいけません。この規定に違反して処分を受ける例も珍しくないようです。