一般に許認可や免許の要件には「人的要件」「物的要件」「財産的要件」の3つがあります。宅建業免許についても例外ではありません。この3つの要件について確認していきます。
〇 人的要件
事務所に専任の宅地建物取引士を置かなければなりません。宅建士の人数は、事務所に従事する者5名に1名以上です。専任というためには「常勤性」「専従性」を満たしている必要があります。つまり ・当該事務所に常勤して ・専ら宅建業の業務に従事していること が求められます。新規に宅建業免許申請をするときには、専任の宅建士は「宅地建物取引士資格登録簿」において「勤務先なし」と記載された状態でなければなりません。この登録簿は、宅建士が勤務先を変更しても自動的に書き換えられるものではないため、申請実務においても申請時に指摘を受けることがあるようです。
〇 物的要件
物的要件は事務所です。この後の財産的要件でも述べますが、事務所の数によってかかる費用が違います。必要となる宅建士の数にも影響します。事務所というためには、物理的にも社会通念上もそれと認識される程度の独立した形態を備えていることが求められます。普通の住宅やマンションの一室、共同事務所は原則認められません。本店と支店があって、本店のみで宅建業の業務を行う場合は、支店は事務所と取扱いません。反対に支店のみで宅建業を行う場合でも本店も事務所として取扱います。
〇 財産的要件
営業保証金の供託が必要です。これは、営業上の取引による債務の支払を担保するためのものです。消費者が取引よって損害を受けたときは、宅建業者へ直接損害を賠償してもらうこともできますが、この供託した営業保証金から弁済を受けることもできます。供託金は本店で1,000万円、支店1店につき500万円です。結構高額であるため、実務上では保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を支払うことが大半です。保証協会には「全国宅地建物取引業保証協会」「不動産保証協会」の二つがあり、前者がハトのマーク、後者がうさぎのマークで有名です。弁済業務保証分担金の額は本店で60万円、支店1店で30万円です。かなり金銭的負担が減ります。