会社の事業年度と公告方法の決め方

 会社は将来永続して活動を行うことを前提に設立されます。従ってこの活動を一定のある期間で区切って、会社の経営成績を計算書類(貸借対照表と損益計算書)で示す必要があります。この区切った期間を「事業年度」と呼びます。

 事業年度は1年を超えることは出来ませんが、発起人が自由に決めることが出来ます。1年を2つの事業年度に分けることも可能です。実際に多い事業年度の決め方は「毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする」というものです。会社によっては繁忙期と閑散期があるため、あえて繁忙期を避けて事業年度を決めることもあります。なお、事業年度の末日を2月とする場合は、うるう年を考慮して「2月末日」と表記する必要があります。

 最初の事業年度の期間は、会社設立時期と事業年度の末日との関係で、1年未満になるケースも考えられます。例えば会社設立時期が10月1日で、事業年度の末日が3月31日であれば、最初の事業年度の期間は6ヶ月間ということになります。一方消費税法では、資本金が1000万円未満の株式会社は、原則として、設立1期目と2期目は消費税の納税が免除されます(例外あり)。このことを考慮すれば、1期目は丸1年間となるように設定した方がメリットがあると言えます。会社設立の際は、以上のことも検討の上、事業年度を決めることが得策です。

 公告に関してですが、株式会社では、株主等に対して各種の公告が義務づけられています。広告の方法としては、①官報に掲載する方法、②日刊新聞紙に掲載する方法、③電子公告による方法 の3種類があります。実務上は①を選択する会社が多いようです。広告の方法は定款では任意的記載事項となります。定款に定めがない場合は①の「官報に掲載する方法」になります。