成年後見人の初回報告

 成年後見人等に就任したら、少なくとも毎年1回、裁判所又は後見監督人への報告義務があります。これとは別に、就任したら初回報告をする義務があります。初回報告の期限は裁判所によって違いますが、だいたい就任後1~2ヶ月後で設定されているようです。初回報告期限は裁判所から出される審判書と一緒に渡される書面に明記されています。この期限内に規定の報告をしなかった場合は、裁判所は事前連絡をしないまま専門職を追加で後見人や後見監督人に選任されたり、調査官を選任して調査をしたりします。期限内に報告できそうにないときは、必ず裁判所に連絡するようにしましょう。

 初回報告で報告する事項は ・財産目録 ・年間収支予定表 です。書式は裁判所のホームページに載っています。財産目録では通帳を記帳し、お金の移動はもれなくチェックします。他の財産の存在が予想されるお金の動きがあればそれらもチェックします。例示すれば保険、配当、積立て、利息等はチェックするべきです。

 年間収支予定表は、今後の定期報告の際に裁判所が現状と比較して確認する資料になりますので、できるだけ詳しく記載していきます。お金の用途も明記した方が良いです。

 就任時から初回報告までの1~2ヶ月間は、成年後見人は急迫の必要がある行為以外はすることが出来ません。急迫の必要がある行為とは「被後見人に回復しがたい財産上の不利益をもたらす事態を避けるため、財産目録の作成前でもする必要がある行為であり、法律行為のみならず事実行為も含まれる」と説明されています。具体的には ・債権保全のための時効の完成猶予及び更新行為 ・緊急を要する家屋の修繕 ・賃料不払いとなっている自宅の未払い賃料の支払 等があります。これらの急迫の必要がある行為をする際でも必ず事前に裁判所もしくは監督人に相談するようにしましょう。