交通事故業務

 行政書士の業務には「事実証明に関する書類の作成」があります。従って、交通事故が起きた時に事故原因の調査から調査報告書の作成等は、行政書士の業務です。しかし現在では交通事故業務を扱っている弁護士も大変多く、交通事故の態様も千差万別であり、業際もとてもシビアな世界です。しっかり事前準備をして取り組まないと危険であり、弁護士法違反に問われかねません。準備するには市販の書籍だけではなく、行政書士を対象にして継続的に行われている勉強会に参加するのが有効です。また、初受任の際には信頼できる先輩士業と共同受任するのが得策だということです。

 行政書士が交通事故業務で行う主な業務は・交通事故証明書の入手・実況見分調書と供述調書の入手・現場調査と調査報告書の作成・自賠責保険の請求・後遺障害等級認定に対する異議申し立て・損害賠償請求書の作成 です。

 〇 委任契約書

   行政書士が受任することが決まれば、まずは契約内容を委任契約書として書面にします。委任事項が行政書士の業務範囲を超えていないか十分注意して委任契約書を作成します。一般的な委任事項は次の通りです。

   ・自動車損害賠償保障法に基づく損害賠償(保険金)請求手続に関する一切の権限

   ・事故原因調査

   ・医療調査

   ・刑事記録の閲覧・謄写

  なお、委任契約書作成時に、報酬額もしくは報酬額の基準を明記しておきます。成功報酬とすることには過去に弁護士法違反の判断材料とされたこともあり、慎重を要します。

 〇 交通事故証明書の入手

   自賠責の請求手続ではこの証明書の添付は必須です。本人請求の場合は、警察署で専用の払込取扱票を入手し、ゆうちょ銀行か郵便局に申し込みます。交付手数料はかかります。行政書士も委任状があれば代理取得ができます。この場合は自動車安全運転センターか郵送での請求となります。